茄子の花


 茄子の花が咲いた。
「親の意見と茄子の花は千にひとつの無駄もない」と言ってた母の言葉を思い出した。母が親の意見をきいたのかどうかはわからんけれど、わたしは親に意見されても効いた覚えがない。


 中学生のころ、担任の教師が民青の活動家で社会主義の本を借りて読んでいたら、父に取り上げられた。若いうちに思想にかぶれるのは良くないと叱られた。わたしは本ならなんでもよかったのだ。

 20歳で結婚すると言ったら、母に早婚は良くないと言われた。娘時代を楽しむのは大切なんだということだった。母が結婚したのは27歳のときで、その当時なら晩婚だったと思う。
 40歳で離婚したときも事後報告で「なんの相談もしないんだね」と呆れられた。


 まあ、決めるのは自分だし、後悔するのも自分だから、自分で決めた結果は自分で引き受けるという論理を両親の生き様から身につけていたんだと思う。最近、息子にまで「なにかするときは誰かに相談しなさい」と言われた。


 画して、失敗だらけの人生だけど最終的にどうだったのかは死ぬときじゃないとわからない。モーパッサンの「女の一生」のように「人生、良くも悪くもなかった」と思えたらそれでいいと思う。



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