清宮質文 版画家

 木版画の画集を探しに大学の図書館に行ったら、スッゴイ本を見つけた。
なにか知っている記憶と悲しみ。そして、いろんなオバケが登場する。雑記帳の中の「オバケと私」の文章。「絵は描く人それぞれのオバケ」であり、創作は自分の内なるオバケを今世に引っ張り出して話しかけることなのだという。平素で心にしっくりとくる文章は奥が深く哲学的。
 神といひ仏ともいふも世のなかの人のこころのほのかなものはーーー実朝



 ーーー雑記帳から
 『美ということも、すべて「人間」から出発しなければならない。「自然」の法則によって地球上の一種の生物として存在するこの「人間」が基調となって善も悪も美も醜もあるのである。芸術(美)も、その人間の生存条件の一つとして存在する。ーー中略
 「人間」の存在に快適なものが「美」であり、快適でないものが「醜」である。(蛇足 美人、真に快適とはいえないのである)
 「人間」の存在に快適なものが「善」であり、快適でないものが「悪」である。』


 また、『「美術館の壁面のにおい」のする絵は嫌いである。「よくない絵だ」と私は思っている。美術館の壁面の為に描いた絵。』


 今年の春に茨城県近代美術館で「清宮質文生誕100年展」が開催されたそう。知っていたら足を運んだのに残念に思う。


https://www.museum.or.jp/modules/im_event/?controller=event_dtl&input[id]=90010