「潮かおる小樽で」瀬戸國幸

 

 警察医の自費出版の手記である。
普通に暮らしていて、家族以外の遺体を目にすることはないが、検察医は事件のたびに死因を究明しなければならない。精神的にも大変な仕事だ。小樽って、そんなに事件があったんだと思うと同時に、事件の裏のストーリーに救いようのない悲惨さを感じた。

 
 同窓の友人の息子が鑑識課に配属になり、もちろん殺人や孤独死も扱うので臭いが大変だという話を、ちらっと聞いた。わたしが「夜、札美でデッサンの勉強していて、帰りが10時頃になる」といったら、
「おかしな人間がいっぱいいるんだど。明るいところを歩けよ」と心配された。


 筆者はオーボエ奏者でもあり、料理に明るく山菜やキノコ採取にも詳しい。
自宅にワインセラーがあり、もちろん料理も上手だ。その美味しいものの文章が悲惨な事件を緩和させてくれて、2冊続けて読んでしまった。


 朝日新聞出版の虐待の報告「サイレント・マザー」や国境のドキュメンタリー「壁」など、重たい本を読み続けて精神的に疲れた。ーーーもう、今日で読み止め!


 明日から三月。明るい三月にしよう〜♬