はるはなのみの〜♬


 
 『はるはなのみの かぜのさむさや〜♬』の歌詞を春花の実のって、どんな実だろう?と思っていたことがある。
 向田邦子の本に「夜中の薔薇」というエッセイがあり、「野中の薔薇」の歌詞をずっと、夜中だと思っていたそうで、ん? わたしにもありそう....と思ったら、あったのだ。


 今日から三月というのに猛吹雪で粉雪が舞い、窓は吹き付けられた雪で曇りガラスのようだ。
カプチーノを飲みながら家にいる幸せを感じている。


 こんな日に山に入っていたら息もできないわ...と思ったとたんに、日高山行が蘇った。
正月のペテガリ山行だったと思う。交代でスキーラッセルしながら稜線に出たら、風が強くて息もできない。スキーごと流されそうでスキーを脱ぎ、踏ん張りながらの稜線歩きで一瞬も気が抜けなかった。


 ピーク手前のコルから下に降りてテントを張り、テントの中に入ったら天国のようにあったかくて、もう一歩たりとも外に出る気がしない。そこに到着した若者グループ。
「凄い風です!風に押し倒されそうになりましたぁ!」と叫んでいる。
「押し倒されるのは男でしよ!風に押し倒されてどうすんの!」と、先輩山姥が勇ましい返事をし、テントのファスナーも下ろさず、「まだ時間あるから、ピーク行っといで〜!」と励ましていた。


 若者グループは予定どおりピークを踏み、山姥グループはテントの中であったか〜い幸せを甘受しておりました。