谷中散策


 上京した際に古い商店街のある谷中を散策した。昭和レトロなお店が並んでいて懐かしさを覚える。
お店の軒先ばかり見ていたが、視線を上に移すと、これまた懐かしいものが目に入った。子供時代に使っていた敷布団と丹前がベランダに干してある。ーーー今時、丹前を使っている人がいるなんて、ちょっとびっくりね。


 そして、お昼に入ったおにぎり屋さん。
ご飯が美味しいと思ったら、なんと、つば釜でご飯を炊いているのだ。シンクで釜を洗っているのが見えたので、どんなストーヴを使っているんだろう?と奥を覗いたがテーブル席からは見えない。


 母方の実家は米農家で朝夕、つば釜でご飯を炊いていた。おこげのおにぎりが美味しくて、結婚したときは文化鍋を買い求め、おこげのおにぎりを作っていたが、フルタイムの仕事をするようになって朝のお弁当作りが大変なので電気釜に替えてしまった。今は圧力釜で炊いている。


 そういえば、友人の息子家族が鎌倉に転勤になり、お嫁さんが子育て中で仕事に出られないので、住宅街にある自宅で焼きおにぎり屋を始めたら好評だという。お昼過ぎには売り切れてしまうんだそう。


 おにぎりって、なんの変哲もないけれど、地味なご馳走だと思う。ご飯の湯気と一緒に心も握られるからかもね? 
 おばあさんが一人、カウンターでゆったりとご飯を食べていて、いい感じ。おみおつけも薄味でお年寄りにはいいかも?