第92回 道展 2017


 考古学の作図作業は美大を卒業した人が多かった。
もと同僚たちは今、美専やカルチャースクールの講師をしながら絵の制作をしている。


 十数年振りに公募展に出かけ、懐かしい友人との再会に話がつきない。織りの友人を誘って出かけたのに、山のお師匠さんに会ったり、シーラカンスの木版をいただいた同僚の旦那さんに会ったりで、話が長くなり申し訳なかった。


 工芸、陶芸、立体、油彩、水彩、日本画、版画、所狭しと作品が並び、1階のA室に展示された油彩は2段掛けにされ、見るのが大変。特に油彩は100号以上の作品ばかりなのでゴテゴテした壁がびっしり並び具合が悪くなる。


 目に止まったのは版画の作品だった。シンプルでセンスがいい、と立ち止まったら、招待状を送ってくれた友人が大谷大学の先生だと教えてくれた。油彩はやめて、版画にしようかなと思ったくらいに素敵。


 わたしは本当に油彩を勉強したいんだろうか?と自問する。看板のような絵や、写真のような絵は描きたくないし、気持ちが悪くなるようなグロテスクな表現も嫌いだ。


 絵に求めるものは、抽象、具象に関わらず、もうひとつの空間で、それを見て思いを馳せたり、ふっとした幸せや違う世界を感じられたらいいと思っている。