人物デッサン


 しばらく平面構成ばかりしていたら、人物デッサンの方法を忘れてしまった。鉛筆をもったままぼんやりしてたら「何、困ってる?」と園長先生に聞かれた。
「人間の顔って、どう描いたっけ?」と言ったら、画用紙の裏に「楕円の塊に顔の面積のあたりをつけて、眼球があって、鼻があって...」と描いてくれた。ーーーそうだった、陰影をとらえるんだった。


 前の高校生と隣の浪人生がすごく上手くて、横眼でチラチラ眺めながらマネしていったが、手が思うように動かず全く駄目ね。3枚目の人物デッサンが一番おかしい。顔の小さい、細くて綺麗な十代の女の子なのに、下膨れのおデブちゃんになった。ウールのジャケットを着ているので、体型が分からず太って見えるのだ。ーーーもう、がっかり...。


 園長先生のお父さんが描いたという素敵な油彩画をつくづく眺めて、いつの日かこんな絵を描きたいもんだと思う。