世界一美しい人


 札美で知り合った中国人留学生の心さん。「母はわたしのことを、『世界で一番美しい人』と言います」と笑った。「え〜!すてきなお母さんねぇ!」と思わず声が大きくなった。


 心さんはとても優しい心の持ち主で、学校から地下鉄乗り換えなしで帰宅できるのに、私に会うと付き合って乗り換えをする。どちらでも歩く距離は同じといい、車内でおしゃべりを始めた。
 何気なく「お母さんって、どんな人?」と聞いたら、あんなすてきな答えが返ってきたのだ。
 ーーー自分の娘をそんな風に言えるなんて、いいと思わん?


 一人っ子政策の中国で、両親に大切に育てられた娘さんで、細やかな心遣いが日本人のようだ。
札美では色彩構成を勉強していて、色の組み合わせがちょっとおしゃれな作品を作っていた。国に帰って学士過程を卒業したら、日本の大学院に進み、将来はデザインの仕事に就きたいそうだ。


 「札幌国際芸術祭に行きましょう」とメールが入り、もうすぐ帰国なので、芸術の森で会うことにした。初めて訪れるとのこと。「北海道の爽やかな夏には、ぴったしな場所よ!」と二人でぶらぶら散策をした。手作りあんぱんを食べて、冷たいお茶で心さんの未来に乾杯! 


 芸森まで自転車でエッサホイサと緩やかな坂を登ること小一時間もかかったのに、帰りはサーっと快適に走って帰宅。もう、空は秋の気配。
 ーーー今日も元気で、いい汗かきました!