金蓮花を描く


 「色を使ってみましょう」とのことだったので娘が学生時代に使っていたアクリル絵の具があったので持って行った。
スタッフに与えられたモチーフが金蓮花で「あら、かわいい花!」と喜んだのはいいが、葉っぱが面倒くさい。
 そこへやってきた園長先生、「また、随分難しいものを選びましたね」というので「わたしが選んだわけじゃないわ....」と言いながらデッサンし始めたが、葉っぱと茎が込み入っていて、いやんなる。もう、他の花と取り替えて欲しい気分だ。


 色を塗る段になってから、もっと大変なことになった。アクリル絵の具は乾燥が早くて紙の上で色が混ざらないのだ。水を使うと画用紙がベコベコ浮いてくる。
「なんかこれ、イライラする絵の具だわね」と文句を言ったら、よしみ先生が「これ、貸してあげる」と乾燥を遅くする溶剤を持ってきてくれた。そして、アクリルは発色がよくて、なんにでも描ける画材だそうで、後ろの絵も同じ絵の具で描いていますと教えてくれた。
「わあ、すごく上手! ほんとに同じ絵の具?こりゃ、頑張らねば!」と黙々と葉っぱを描くこと5時間。


 すると、園長先生がパレットを見ただけで「色、使えますね」と言ったのだ。パレットで絵の良し悪しがわかるなんて知らんかった。紙パレットに白、青、緑、オレンジ、黄色、と置き、混ぜながら使っていた。


 途中でめげそうになったけれど、おかげさまでなんとか完成しましたよ。