KFCランチ


 ときどき、高校時代の友人が立ち寄ってくれる。律儀な彼は必ず何か持ってきてくれるので、昼食の支度をせずに済む。
 マックのバーガーだったり、ケンタッキーだったりする。自分ではファーストフードは買わないし、子供達が育ち上がり元夫がケンタッキー片手に来ることもなくなったので、新鮮だ。
「実は、KFCのクッキービスケットが好きなんだよね!」と昔話をしながらパクつく。


 一瞬のうちに懐かしい青春時代に戻る。
彼は私の親友のケイが好きだった。彼女はロシア人のように色が白くて、天使のように可愛かった。高校時代の3年間、机を並べて勉強した。と言っても、わたしはいつも授業中は教科書に本を挟んで読んでいた。


 明るくてスポーツ万能の彼女は誰にも愛されたので、好きなのは彼だけではなかった。
しかし、彼は「ケイは俺のことが好きだったんだ。俺に勇気があれば....」と信じて疑わない。
 ーーーそうじゃないってば、友達としか思ってなかったよ。と言いたいけれど、夢を壊すようで言えない。


 2年前、ケイは一足先に天国に逝っちゃったし、夢は見続けたほうがいいものね。
高校時代のアルバムを見ながら二人で友を懐かしんだ。