西岡水源地散策


 久々のポカポカ陽気に山菜のお師匠さんと西岡水源地を散策した。
まだまだ、深い雪の散策路で、バードウオッチャーが煙突のような望遠レンズを構えていた。
「あれで見ると、だいぶ近くに見えるかな?」というので「そうよ、月のクレーターだって見えちゃうわ」といい加減なことを言いながら、雪に埋まった足を引っこ抜いていた。木々の根元はぽっかりと穴があいて、春はもうすぐそこまで来ている。


 栃木県のスキー場で冬山訓練中の高校生7人と引率の先生が雪崩で亡くなった。北海道人としては、なんで春に冬山訓練なの?と思う。春に表層雪崩が起きやすいことは素人でも知っている。
 北海道の山岳会の冬山訓練は11月の連休に行う。これから冬山に入るため、ビーコン操作(発信機)の訓練と雪崩にあった時の捜索訓練。斜面での雪の弱層テストの仕方、ピッケルでの滑落停止、トラバースの方法など、冬山の基本訓練を行い、翌日は岩と雪のミックス登攀をしていた。
 北海道の中央、カミホロカメットク山の麓には各山岳会のテントが並び、冬山銀座通りのようになった。そこでも、過去に雪崩の事故に遭っている。


 今回の訓練には50数名のグループ全員がビーコンを身につけていなかった。20年まえから、冬山に入るためにはビーコン、ゾンデ棒、スコップは3種の神器と言われ、全員が身につけることが常識になっている。ーーー山やは遺体発見機と呼んでいた。
 北海道と本州では、冬山に対して認識の違いがあるのではないだろうか。息子さんを失ったご両親の痛みはいかばかりかと、胸が締め付けられる思いだ。ーーー心からご冥福を祈る。