雑っ!


 デッサン2枚目はステンレスのポットとりんご、角材とレンガ。ステンレスのシャープな輝きとりんごの丸み、木材の柔らかさと硬いレンガの素材を表現する。意外と球体のりんごが難しい。


 りんごの表面にとらわれて描き込んでいると平べったくなってしまう。角材も同じで、柾目と木目を描き込んでいると三面が同じ明暗になってしまう。全体のバランスも見なければならないから、モノクロの写真に撮って確認したらいいと思ったら、脳は明度と彩度、色相を自動的に組み合わせて物体を捉えるから、写真とは違うのだそう。写真は明暗でしか捉えることができないし、写真を見ながら細部を描き込んでいると平面的になってしまうという。


 あっ、そう.....。と納得して、しばし奮闘する。もう、いっか....と新しい画用紙を買いに廊下に出たら、踊り場にあった学生のデッサンが目に留まった。「わあ、すごいリアル!」自分のデッサンはなってないわ、「雑っ!」と思わず声に出してしまった。
 それで画室に戻り、四苦八苦してやり直し。離れて明暗を見て、おお、それらしく見えるじゃん!と思ってたら、後ろから園長先生が「少し、デッサンらしくなってきましたね」とおっしゃった。


 ははははは、ということはまだデッサンになってないってことよね。ーーー先は遠いわ.....。




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