映画「ながらえば」笠智衆


 1080年代、山田太一監督が老人問題を取り上げた映画。
名古屋で息子夫婦と住んでいた老夫婦は、妻が入院してしまい、やむなく富山に転勤する息子夫婦についていく。富山に着いて4日後に「病院にいく!」と名古屋に戻ろうとするがお金がない。引き出しの3千円を持ち出して列車に乗るが、急行券を持っていないので降ろされてしまう。
 ーーー笠智衆宇野重吉のお二人が燻し銀のような味を出している。


 若い頃は自分が年を取って老人になるということがピンとこなかった。
年を取ると老人問題がよく見えてくる。家族同居や介護の問題、そして一人になったときの問題。老人になると子供と同じで誰かの手を必要とする。


 だからと言って、施設などでお年寄りに「むすんでひらいて.....」と手を叩かせているのを見ると、がっくりする。運動の つもりなんだろうけど、わたしならしたくないね。ーーー他にもあるでしょう?と思ってしまう。


 で、話を戻すと、降ろされた駅でぶらぶらしているうちに普通列車に乗り遅れ、やむなく泊まった宿で老主人の妻が亡くなる。通夜でボソボソと妻をいたわる二人の老人。しみじみとして、心にしみる。


 旧国鉄の列車に乗るシーンから始まり、列車で富山に戻るシーンで終わる。
笠智衆の表情がなんともいえない。ほろりとしてしまった。


「ながらえば」https://youtu.be/IN6u8Kl4aVQ