Charles & Mick


 アメリカに越したミックからメールが入った。
「物価が高くてね。ワインが10ドル近くもするの! 仕事はハードで夜は遅くなるし、タイの暮らしが懐かしい....」と。


 チャールズは刑務所の職員に採用され、ミックは保育園に勤務。コーナーは幼稚園に通っているとのこと。
二世帯同居はいろいろ問題があり、「三月からアパートに引っ越す予定だから、超したらすぐに遊びに来てね!」と、言われても今アメリカはトランプ大統領が移民排除令を出し、世界中が巻き込まれ、ごたごたしているのでおいそれとは行けない。


 ミックはフィリピン人なので入国ビザとグリーンカード(就労許可書)の取得に2年もかかっている。取得後、3年間はアメリカから出国できないので閉塞感もあるだろう。住んでいる小さな町は人種差別があると言っていたから、大変だと思う。
 タイにいるときだって、英語圏の教師とフィリピン人の教師は待遇が違っていた。教師陣はチャールズには愛想がいいけど、ミックは無視されていたものね。


 なんで、白人が優れていると考えるのだろう。人類の発祥地はアフリカなのだから、みんなもとは黒人だったのだ。
 昨年の夏スペインで、マダカスカルからきたララオが意地悪されていると聞き、みんなの腕を並べて「みんな皮膚の色が違うけど、ララオがオリジナルなのよ!」と話した。


 世界の国々のリーダーはどこへ向かっているのだろう。
日本もあやうい。人々が日々の暮らしを営んでいるとき、それは音もなく背後からやってくる。