蛇が侵入


 中国人のボランテア教師の部屋に蛇が侵入し、恐れをなした二人はアパートに引っ越してしまった。朝夕、涼しくなって蛇も寒いから部屋に入りたいんだよね、きっと。


 数日前に台所の風通しの網の前に蛇が2匹いて、思わず目張りを確認した。ミックから蛇やムカデが出るから、隙間に目張りするように言われて、隙間という隙間をガムテープで塞いであった。
 白黒の縞模様のと白っぽいヌルっとしたのが鎌首もたげて入ろうと隙間を探している。白黒は珍しいので写真を撮ろうとしたら逃げられてしまった。たぶん、それがおとなりさんに入ったんだね。白い蛇は丸い頭だったが白黒蛇は頭が角ばっていた。頭が三角だと毒蛇だそう。


 バスルームの排水口からムカデが上がってきたことがあるが、サソリはまだない。怖いのでペットボトルに水を入れて逆さにして排水口を塞いでいる。玄関のドアの隙間からも入るそうで、これもガムテープを貼り床との間に隙間ができないようにしている。


 子供の頃、近所の家に馬がいて、春になると馬の糞尿を積み上げた小山で蛇が孵化し、蛇山のようになり、一斉に立ち上がってゆらゆらしていた。つくしんぼうみたいな頭に赤い舌がちょろちょろして、こんなにいるときれいだぁ....と見とれた。蛇が大嫌いな母は「なにが、きれいなもんか!」と怒っていた。
 ーーー暗がりの紐にさえ金切り声を上げていたからね。


 地方の発掘現場で働いていたことがあり、そこは石の多い牧場だった。
ときどきマムシが出て作業員が悲鳴をあげ、勇敢な調査員が捕まえた。「マムシ酒を作りたいから、調べなさい」との命令で図書館に電話して作り方を聞いた。ーーいまのようにサイト検索できないからね。


 作りましたよ!マムシ酒。
果樹酒用の広口ビンにマムシを入れて水を注ぎます。1週間ほど水を変えて体内のものを出し、そのあとで35度の焼酎に漬けるんだけど、残酷そのもの。苦しいから大きく口が裂けて、恐ろしかった。


 
 ある夏のこと。札幌の整理作業室で悲鳴が上がった。「えっ、なにごと?」と駆けつけると、スチールの棚の奥にマムシビンが鎮座していた。調査員が土器のコンテナの奥に隠しておいたらしい。
「あっ、ら〜! 私が作ったマムシ酒でしょ。怖かったんだよね、これ」と言ったら、「許せん!よくもまあ...」と呆れられた。彼女は蛇が大嫌いだったのよ。まあ、あまり好きな人はいないと思うけど。


 今日の「作文」の期末試験に「びっくりした一日」の短文を作る問題を出したら、
『昨日はびっくりした一日でした。それは寝ようとしたらベッドにへびがいたからです』というのがあった。
 ーーーそれは、びっくりだわ!