いい生徒は前の席


 国は違ってもいい生徒は一番前と相場が決まってる。アラスカのセーラを大学に連れてったときもそう言ってた。もちろん、タイの生徒もそうで、わたしの真ん前で瞬きもせず、まっすぐ見ている生徒がいる。日本語はあまり上手じゃないんだけど、真摯な視線がいい。


 2年生は箸にも棒にも引っかからない生徒が半分で、そのうちの3、4名は救いようがない。日本語を勉強する以前の問題だ。
日本文学の授業でパワーポイントを使い、人間と文字について話したとき、「恐竜の時代(タイ東北部には立派な恐竜博物館がある)は人間はいましたか?」と聞いたら、「みい、みい!(いるいる)」とのたまう。ーーーもう、子供だって知ってるじゃんか!
 

 日本文化と時代を写真を見ながら説明し、平安時代に書かれたと言われる、「竹取物語」を最初にもってきたのだけど、あらすじを書いてもらったら、さんざんだった。コピーするわ、物語をそのまま書き写すわ、であらすじになっていない。


 授業の進行は、最初に作者の説明、それから「あらすじ」を言う。もちろん、「あらすじ」とはなんぞや?も説明して、出来事の順番を言う。その後でアニメーションを見てから、物語を読む。これはみんなに読んでもらってから、わたしが読んで、意味を説明する。
 最後にもう一度アニメーションで確認する。そして、再度あらすじをみんなに発表してもらい、「あらすじ」と「感想」の宿題を出す。

 
 これだけ、くりかえしたら、いいだろう?と思うが、そうじゃないんだな。
そこで、バンバン当てて、じゃべっている生徒には「は〜い、Maki先生はきれいですか?」「はい、きれい」と言ったらすかさず「じゃあ、みてください」と、落語の調子でテンポよく進める。ガムテームも用意して、「うるさい人はこれを貼ります!」バリッとはがしたらびっくりしていた。


 それでも、けっこうクラスがまとまってきて、休みも少なくなった。ん、手応えありだね。