風邪

  
 先週、2年生のチョンプーさんが「先生、風邪をひいたときは、どうしますか?」と聞くので、
「わたしは、しょうがとハチミツのホット・ドリンクを飲みます」と言ったら、「しょうがは辛いです」という。
「それから、風邪をひきそうなときは、ニンニクたっぷりのカレーを作りますよ」と言うと、
「わたしは今、風邪をひいています」と、なかなか上手な日本語で話す。


 その風邪が移ったのか、昨日から喉が痛い。
今日、2年生のクラスで「わたしはいま、風邪をひいています。のどがいたいです。みなさん、しずかにしてくださいね!」というと、チョンプーさんが
「先生。今日、わたしはカレーを作ってきました。いっしょに食べましょう〜!」と言う。
「それは、グッドタイミング! 風邪が治ります」と昼ご飯を一緒に食べることになった。


 授業が終わり、教室の掃除をしていると、同じ2年生のスッテダーさんがやってきた。
なんだか様子が変だ。「どうしたの?」聞いたら、泣き出した。「なになに?なにがあった?」とチョンプーさんに尋ねると、タイ語の科目が 「I」で、お寺に1週間、座禅にいかなければならないとのことだ。

「いったい、どんな課題なの?」と聞くと、日記を書く課題で、毎日いいことを一つするという目標で、30枚の画用紙に書いたイラスト入りの提出物だった。タイの生徒らしく、おしゃれに綴じてあり、本になっている。その表紙に無残にも大きな❌印がついている。ーーーえっ? 無神経な先生じゃん!


 「これのどこが悪いの? おかしいのは 先生じゃない?」と憤慨しても、タイの先生は絶対的な存在で、生徒は文句が言えない。
そのうち、3年生もやってきて、「みてごらんよ、すごくいいじゃん?」と同意を求めると「ぼくは、Cでした」と優秀なギャップくんが言う。
 みんなであれこれと慰めてもよほどくやしいのか泣きやまず、「じゃあ、わたしが特別賞をあげよう!」と彼女にセーラームーンのキーホルダーをあげると、3年生が「わあ〜、セーラームーン!ぼくも好きです」と大騒ぎ。


 なんとか騒ぎも収まって、みんなでカレーを食べた。
チョンプーさんに「料理が上手ですね」と褒めると、「上手じゃないけど、作るのが好きです。みんな、喜んで食べてくれるのが、嬉しいです」とのこと。 彼女は教えた味と同じカレーを作って持ってきた。なかなかいい味覚をしている。ーーーさすがだね〜!