Happy boy


 いたずら盛りのお隣りのおちびちゃん。3ヶ月会わないうちに背もぐ〜んと伸びて、知恵もついた。
寮の玄関で生徒たちをとうせんぼして「Password Please!」と出入りを妨げる。1階のドアをノックして歩いて、教師がドアを開けると「はははあははは」と笑って逃げる。目を離したすきにお店からスナックを持ってきて、あわててお金を払いに行ったりと、「たいへんなのよ〜!」と嘆いている。

 わたしは笑って、男の子ってそんなもんよといい、おちびちゃんには「わたしのドアはOK!でも、知らない人のドアをノックしたらだめよ。それから、お店はお金がいるのよ」という。


 年末にはアメリカに引っ越すので、幼稚園をどうするか? という問題になり、1時間ほど離れた町に住む姉が面倒をみて、自分が働いている学校の幼稚園に入れることになった。お寺が経営しているのでフリーなんだとか。

 姉のアナが「今日から、ここの幼稚園よ」と連れて行くと「ぼく、幼稚園は行けない!」と泣くんだそう。「どうして?」と尋ねると、ママがお金がないから幼稚園はだめ、といったんだそうで、小さいながらお金の心配をしていて、超〜健気。ーーーシーサケット大学の付属幼稚園はすごく高かった。


 また、アナが教えている高校生のクラスに連れて行くと、たちまち生徒の人気者になり、アシスタントをしているという。
「コーナー、これ読んでみて」というと、おちびちゃんが上手に読むので、生徒たちはみんな驚いたそう。
「ほら、4歳の小さな子供がよめるでしょう? みんな、もっと英語を勉強しなさい!」とハッパをかけているそうだ。
 それに、アナは「1週間で4キロ痩せた!」と喜んでいる。小さな子を追い掛け回すのは、体力が要るよね。


 と、いうわけで、週中に一度両親がおちびちゃんに会いに行き、週末に大学に戻ってくる。
わたしはおちびちゃんの声がしないので、ちょっと寂しいね......。