藻岩山


 雨も上がり、いい天気になりそうなので山友にメールしたら、小樽の赤岩に行くとフラれてしまった。
こんな日に家にいてはもったいない、と自転車でダーっと坂を下ったら、なにやらタイヤの音が変だ。降りてタイヤを押してみると、まるで空気が入ってない。パンクしてんの? と坂を押して家に戻り、空気を入れたら大丈夫そう。ネジが緩んでたんだね。


 次は藻岩の上り坂で自転車を降りたら、靴底がカポッと剥がれてる。
えっ、こういうことってあり....?  ま、藻岩山だから裸足でも登れるか、とそのままカポカポする剥がれた靴底を気にしながら、登って行った。登山道について、なんか紐らしきものはないかとザックの中を探したがなにもない。いつもは日本手ぬぐいを1本入れてるんだけれど、暑いからとタオルにしたんだよね、タオルは裂くことができないわ。ガムテープもないし、仕方がないから、靴をハンカチで縛って歩いた。


 新緑の美しい季節。山頂まで木陰で緑のトンネルを歩いているよう。
山は尾根に始まって、尾根で終わると言われている。同世代の山屋は終わるどころか、ますます逞しくなって、海外山行に精を出している。体力や岩トレーニングに忙しくしていて遊んでもらえない。ちょっと、わたしのような俄か山姥とは年季が違うんだな。


 夏、大雪山系の尾根歩きをして、高山植物に感動していたが、そのうち沢登りを始めたら、暑いのにかったるくて尾根なんか歩いていられなくなった。冬はスキーを使うようになって、下りがあっという間で半分得したような気分で最高だった。沢ぐつとプラブーツがあればいいわ、登山靴なんかいらないわね、とホザいていた。
 ーーーそんな日もあったっけ、わたしゃ、尾根に戻ったわ....とタラタラ藻岩山を登りながら考えていた。