サンディ・マーケット


 お隣さんとサンディ・マーケットに行く。
おチビちゃんはおばあちゃんと妹宅に残り、お兄ちゃんが一緒だ。3歳違いのお兄ちゃんは大人しくて聞き分けがよく、成績も優秀なんだとか。


 「いい子は手がかからないけど、大人になってから問題が起こるから、気をつけないとね」と、余計なことを言う。
 「そうそう、甥っ子が自殺したんだよね、ほんとにいい子だった....。」と経緯を話してくれた。成績優秀で背が高くてバスケの選手だったとか。両親がすごく厳しくて、優しい子なので悩んでいたという。



 「それにしても16歳なんてね、プロテスタントは自殺できないんじゃない? だれか、ともだちはいなかったの?」とたずねると、彼はまだ洗礼を受けていなくて、両親は友達の選択も厳しかったいたそうな。貧しい家庭の子とは遊んじゃいけないとか。
 「かわいそうね....。」ミックのお母さんがその子を気にかけていて、残念がっていたという。



 子供が自殺するなんて耐えられない、と思う。
親が自殺した友人を知っていた。彼女は母親が編んでいた編みかけのセーターを大事にしていた。その赤いセーターに彼女の悲しみが詰まっているようで、生々しかった。
 その後、彼女は上京したので度々会うことはならずにいた。その数年後に彼女も自殺してしまった。遺書はなく、彼女の悩みの深さを知る由もない。



 彼女とお酒を飲んだ時、学生時代の恋を話してくれた。
一度、偶然にも同じ車両に乗り合わせ、驚いたという。それにしても20数年の時を経て、その人を見分けるってすごいと思う。私なら声をかけてしまうだろう。しかし、彼女はかけなかったとのこと。ということは、その恋は彼女にとって、過去のものではなかったということだ。
 ーーーせつないと思う。思い出だけがいつまでも心に残る。



 もう、暑さも限界!と思ったら、夕方に雨が降った。ふう、ありがたや。
レーニングジムの帰り、自転車ごと飛ばされそうな風が巻き上ったと思ったら、あたりが真っ暗になった。大粒の雨が地面に黒いドット模様を作るや否や周りが水しぶきで白く煙る。バリバリと空が轟き、なんだか気分がすっきりする。タイの雨は豪快で好きだ。


ココナッツ入りのステックをバナナの葉で巻いて焼いたおやつ。甘く香ばしい。