「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」村上春樹


 週末、村上春樹の朗読を聴いていた。

以前、帰国したとき、本屋に平積みになっていたのを横目で見て、長ったらしいタイトルね、と思いながら手に取りはしなかった。
韓国人のギムが訳本を読んでいたので、「おもしろい?」と尋ねると「おもしろいよ!」と言った。



 仕事をしながら朗読を聴いていると「あなたへのおすすめ」がどんどんと出てくる。
お勧めされないものに「色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年」があったのでクリックした。
 長ったらしいタイトルの意味が、「うまいなぁ...」と思った。インパクトがある。疎外された多崎くんはどうなるの? 高校生とはいえ、こんなべったりした人間関係ってどうよ? と思いながらも途中で止めることができず、朝から晩まで聴いてしまった。



 旅をしていて本屋を覗くと、欧米の本屋には大抵、村上春樹の訳本が置いてある。
イタリア人の友人も読んでいたし、フランス国籍を持つ中国人のアナも読んでいた。彼は海外でも人気が高い。
 わたしは紀行文「遠い太鼓」やエッセイ「雑文集」はおもしろいと思ったが、小説はついていけなかった。まともに読んだのは「1Q84」くらいで、あとは途中でやめてしまった。



 秋の夜長、朗読はいい。
好きな声は、男女ともに抑揚のない低い平たい声。その方が想像力をかきたててくれるし、耳が疲れない。
 夏目漱石の「こころ」は丸2日かかった。そのほか、寺山修司の「赤い糸で縫いとじられた物語」や高倉健の朗読がよかった。健さんのお母さんの話にはジーンときました。