「サバイバル登山家」服部文祥


 社会人学生だったころ、アラスカ旅に出るのに買った本が「サバイバル登山家」で、扉を開いたら置くことができず、リックに入れる前に読んでしまった。以前、彼は知床縦走や日高縦走の報告を山岳雑誌に寄稿していて、文章がうまく、おもしろかった。


 7大陸最高峰登頂後に、山旅エッセイをまとめていて、最初に原稿を持ち込んだのが「山と渓谷社」だった。
 お会いしていただいた編集者が「サバイバル登山家」が編集会議を通らなかったと教えてくれた。あんなに面白い文章が?とびっくりしたことを覚えている。どうして、学術書の多い「みすず書房」なのかと訊ねると、山に詳しい編集者がいるとのことだった。


 今考えると、原稿を読んでいただいただけでも光栄だと思う。そして、テレビ放映と抱き合わせなら出版できる。今、出版社は厳しい状況で確実に売れる本じゃないと出版しないとのことだった。
 そして、伝を頼ってテレビ局に打診したりしているうちに、北海道新聞社に勤務していた同じ山岳会のメンバーの目に止まり、めでたく出版にこぎつけたのだ。


 週末はYoutubeで映像を楽しんでいる。
クローズアップ現代情熱大陸/スイッチインタビュー/講演/特集番組などなど。便利になったものだ。よくないのは「あなたへのおすすめ」と勝手におすすめされた番組が芋づる式に出てきて、シリアスな番組ほど、どんどんと深みに落ちていく。


 先週は、老人問題で、老齢化する団地住人/孤独死下流老人などで、ああ、全部わたしに当てはまるじゃん、と気が滅入ったが、今週は山野井泰史竹内洋岳など、長いことご無沙汰している白い山の世界に浸っている。神々しい白い頂を見ていると、自分の傲慢さをしばし忘れ、清々しい気持ちになる。



第42回北海道登山研究集会 記念講演
サバイバル登山家 服部文祥http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%8...