絵本作家「荒井良二」


 サインをもらいに来た10歳くらいの男の子が「あの.... えんぴつの線は消したほうがいいよ」と小さな声で言ったんだそう。
「やったあ〜!、と思いましたね」と笑う荒井良二さん。ーーーなんて素敵な大人でしょうか。



 帰国中、Eテレの趣味の番組「絵本じゃあにい」を楽しみにしていた。
おチビちゃんに毎年絵本を製作していたこともあり、テレビの前で一緒に絵本作りを楽しんだ。
 彼の自由な発想は一夜にして生まれたわけではなく、長い間の模索があってのこと。もの作りの苦しみと楽しさを併せ持っていると思った。



 子供が描くシンプルな線は大人には真似できない。どうやったら、クレーの色使いやミロのような線を描けるのだろう。
ミロが好きで、地中海に浮かぶマヨルカ島のアトリエを訪れたことがあった。なんの変哲もない辺鄙な場所に建った天井の高いアトリエだった。

 ーーーあのとき、なにを思ったんだろう。小さな宇宙を愛したミロは大きな宇宙と繋がっていたのかもね。