お盆


 お盆は先祖の霊が帰ってくる日。そして、親戚&兄弟姉妹の顔合わせのときでもある。
お墓まいりに故郷へ帰るのは、お互いの無事を確認し合う、という意味もあるのかな.....。


 道南の江差から松前の中間にある海べの村で生まれた。夏の海は素晴らしく、子供の頃から海でツプやウニ、アワビを採って遊んだ。だから、お墓まいりというよりは、子供達を海で遊ばせるのが目的だった。
 実家にはそれぞれ結婚して膨らんだ家族が集まり、ときには相手方のご両親やわたしの友人まで特別参加して、さながら海の家のようだった。


 早朝、「イガ〜、イガ〜!」の掛け声に布団から飛び出し、イカ売りの軽トラックに走り、10パイのイカ刺しを作ることから始まる。昼は総出でウニ・アワビ採り。午後、潮に濡れた水着やタオルを外の流し場で洗い、西日のあたる狭い台所で夕食の支度にとりかかる。
かもめ食堂」と名付けて食堂のおばさんよろしく、首にタオルを巻いてガンガンと料理を作っていた。



 朝、刺身にしたイカの足を包丁の背で叩いてやわやかくして、大葉と生姜を刻んで入れた唐揚げはビールにぴったりで、定番の一皿。採ってきたウニをたっぷりのせたウニ丼。なすの油炒めやなす焼き、ゆでトウモロコシ。地元の豆腐屋の冷奴など、たいして手間のかからないものばかりだが、人数が多いから大変だ。総勢20人以上になるときもあった。



 お盆のお墓まいりは父が亡くなり、母が千葉の妹宅にお墓とともに引っ越しするまで続いた。
けっして、仲の良い兄弟姉妹ではなかったけれど、この思い出だけは自慢すべき宝物だ。