ゴミをあさる子供たち

 朝、大型のゴミ箱にゴミを放り入れようとしたら、中からペットボトルが飛んで来た。下を見ると、空き箱やらビン類が散乱している。「あれ?」と思い覗くと、饐えた匂いのするゴミ箱に中に子供たちがいて、売れそうなものを餞別しているのだ。


 一瞬、25年前にタイムトリップしたかのようだった。
昔、スワナプーム空港への高速道路の高架下にあったバラックを思い出した。ネパールのトレッキングの帰りのことで、泊まったホテルで、中学生くらいの少女が外国人と部屋に入って行くのも見た。あのとき、カトマンズにはストリートチルドレンが溢れていて、エージェントが用意してくれたごちそうが喉を通らなかった。


 お隣のミュークが「裸足の子供たちがいる」と言っていたのは本当だった。「えっ、こんなに豊になったタイに?」と聞き返した。彼女は、思わず履いていたサンダルを脱いであげたとか。


 この子供達は今建築中の現場で働いている人たちの子供だと思う。大学の裏にバラックがあると聞いた。学校に行かずゴミをあさって小遣いを得ているのだ。


 お小遣いをあげようか、と財布を掴んだが止めた。これに味をしめて、物乞いするようになったら良くないと思ったのだ。複雑な心境だった......。


 で、このことを「セーヴァの会」で来訪していたチベット人の若者に話したら、「僕も小さい頃にしたことがある」と当たり前のように言った。
 戦後生まれのわたしは、田舎に住んでいたので食べ物に困ることはなかったが、都会ではそうだったのだと思う。