刑務所長屋

 ボランテアのマサ先生が「俺は刑務所に入ったから....」と奥さんに電話したら、「帰って来なさい」と心配されたそうな。

 彼はバンコクを拠点に海外に進出し成功した会社の社長さんで、72歳でリタイアし、タイへのお返しのために無償ボランテア活動を立ち上げたとか。


 バンコクでプール付きの億ションに住み、住み込みのお手伝いさんがいて、お抱えの運転手が迎えに来る生活をしていたのに、いまは刑務所のような寮で「なにごともサバイバル....」と淡々としておる。彼の柔軟さに脱帽です。 それに威圧感がなく、ちっともエラソーじゃないのだ。
 それに比べ、わたしゃ、ず〜っと貧乏生活をしていたのにも拘わらず、ああだこうだと文句が多いんだよな。いまも、なんとかならないんかい、この寮は!と憤慨している。



 そこへ、韓国バージョンJICA職員が登場して、学内のホテルに住んでいるという。思わず「いくらなの?」と聞いてしまった。
洗濯込みでひと月7000Bだとか。「いいじゃん!シニアは先がないんだから快適な暮らしをしたいわよね」とホテルの部屋を見せてもらうことになった。韓国人の彼はあんな所には住めないと、一晩で刑務所長屋を脱出して、ホテル住まいに変えたそうだ。

 

 いいなあ.....。部屋は北向きだけど広く、眺めがいい。バスルームもゆったりしているし、朝はロビーで本物のカプチーノが飲める。
南向きはパーティ会場で政府のお偉さん仕様になっているんだとか。一部の階はホテルビジネスを学ぶ学生の実践教室になっているそうだ。



 お金持ちJICA職員は、週に1日の授業で生徒は40人のみ。なんとまあ、この格差!
わたしたち刑務所長屋の住人は「いいわね〜、JICA 」と顔を見合せてため息をつきましたが、結論はきれいな部屋にぽつんとしてるよりは、「お〜い、と呼んで一緒にご飯食べたり買い物したりしてるほうが、数倍もすてき!」ということになりました。