映画「世界の果ての通学路」


 仕事の合間を縫って映画「世界の果ての通学路」を観に行った。
ケニア、アルゼンチン、モロッコ、インドの僻地に住む子供達が命がけで通う通学路を12年間に渡って取材したドキュメンタリー映画だ。



 ケニアの兄妹はサバンナの中を横切って、象の群れをさけながら学校へ通う。
アルゼンチンの幼い兄妹は馬に乗って通学。長い道のりを妹の世話をやいている様子がジェントルでたまらなくかわいい。
ロッコアトラス山脈に近い村から学校に行く女の子たち。学校へ行った事がない祖母が孫に夢を託す。
インドの兄弟たちは車椅子の兄を幼い弟2人で押して、学校へ通う。オンボロ車椅子はでこぼこ道でエンストしたり、川にハマったり、途中でタイヤが外れてしまったりで難儀なことだ。
ーー学校へ行くことは、それ事態が彼らにとって喜びであり、希望なのだ。



 ケニアの少年の夢はパイロットになること。空に飛べる自由を「違う視野から世界を眺めることができ、何よりも自由を味わえる」と目を輝かせる。ーーまっすぐな心が眩しい。
 インドの少年は「人は一人で生まれて来て、一人で死ぬ」とその言葉は哲学的。「僕は医者になって僕のような子供たちを助けたい」と夢を語る。ーー素直に夢に向う姿が感動的だ。



 取材した国々は訪れた事がある。インドは行っていないがネパールと状況が似ていた。
子供たちは学校に行くのに命がけだ。モロッコやネパールのこどもたちは野外でゴザの上にノートを広げて勉強していた。
 旅行中、ペンをねだられたが予備がなくてあげられなかった。それ以来、ネパールに行くときは鉛筆を数箱持参しているが、最近はペンよりもスイーツをねだられる事が多い。ネパールやチベットの山奥でも携帯が繋がりテレビも観られるから、状況は変わってきていると思う。



 そうそう、モロッコの、川で洗濯する女たちがブルーのプラスチックの洗濯タライを使っていた。25年まえはカラフルな衣類が川原に並べられていた。赤い砂漠の川筋だけが柔らかな若草色に縁取られ、そこに広げられた色とりどりの衣服は、真っ青な空の下で絵のように美しかった。