つるし雛
福島県の飯野町から、つるし雛が届いた。
箱を開けると、華やかな色彩が目に飛び込んできて、モノトーンの世界に華やかな春を運んで来た。
つるし雛は、昔から子供や孫の幸せを願って作られたもの。紅白の輪に吊るされた飾りはひとつひとつに意味と縁起のあるもので、思い出の和布で母や祖母が手作りした。ひな祭りにはつるし雛飾りを女の子の成長と幸せを願い、ひな壇の両側に飾ります。
<三角> 香袋。薬袋ともいう。お香は貴重品で薬がわりでもあった。
<でんでん太鼓>太鼓はめでたいもの。幸多き事が増えますように、との願い
<這い子人形> 這えば立て、立てば歩めの親心。子供の健やかな成長を願う
意味が込められている。
<ほうずき> ほうずきは女性の守り神。
<きんちゃく> 巾着はお金が貯まるように、お金に不自由しないように。
<もも> 桃の実は女性を象徴し、女の子の厄払いとも言われている。
<唐辛子> 唐辛子は虫除けの効能があり、娘に悪い虫がつかないように。
<ぞうり> ぞうりは足が丈夫になるように。
<花> 花のように娘や孫が可愛くなるようにという願い。
<鶴> 鶴は長寿の象徴。
<さるっ子> さるは厄が去るという意味がある。
<糸巻き> お裁縫が上手になるようにとの願い。
<うさぎ> 赤い目のうさぎは呪力があるとされ神さまのお使いでもある。
<座布団> 座布団のまわりで赤ちゃんが這って遊ぶことを表す。
<柿> 柿は滋養があり、長寿の木、厄払いの効もあるとされている。
<おんどり> にわとりは、早起きができますようにとの願い。
<はと> 鳩は神さまの使いといわれ、平和の象徴でもある。
<せみ> 蝉はよく鳴くので、泣く子は育つのたとえ。
<三番そう> 三番そう(能舞)はおめでたい行事で登場し、家内安全や商
売繁盛を祈願する「舞」を踊る。
<さくら> 桜の花のように可愛らしい女の子に育ちますように、との願い。
<金魚> 赤い金魚は病気から身を守ってくれると言われており、元気
な子供に育つようにという願い。
昨年の秋、絵描きの友人を訪れたとき、古布で雛作りをしている友人がいるとのことでお願いした。お雛さまの顔が恐いわたしにぴったし、ですよ。
母がまだ元気だったころ、古い布でお雛さまや貝人形、お手玉などを作って送ってくれた。箱を開ける度に、その華やかさと可愛らしさにときめいた。
命は母から子へと繋がれていく。命への願いが込められたつるし雛を飾りましたよ。世界中の女の子が、幸せに命が繋がれますように……。