ミッキー・マウンテン

 朝ご飯を食べていたら、「天気がいいから 『ミッキー・マウンテン』 にいかない?」と誘われ、宿題のプレゼンの製作を追いやって、「いくいく、こんな天気には宿題よりも山でしょう!」と若者と出かけた。
 彼は13年間小学校の教員をしていたのだけど、中断して英語の勉強を始めたばかり。夏のピースポート世界一周旅が終わり、船のなかで聞いた、ここ、フィリピンの語学学校に入学したとか。
 わたしは景色を見ているより、彼を見ていた方が面白い。彼は目に映る全てが新鮮らしく、少年のようにいちいち感動するのだ。以前わたしもそうだったと思い、ちぃっと寂しい気がしないでもない。



 登り2時間で、ミッキーの耳のように見えるパラボラアンテナの場所に着いた。
山といっても、住民が農業をして暮らしている丘で、ローカルバスのジプニーも運行している。立派なコンクリートの道があって、歩き易いが車道を歩くのは本意ではない。でもまあ、通っているのはローカルバスとタクシーだけなので澄んだ空気が心地よい。

 山の上の教会から賛美歌が流れてきた。にわとりの鳴き声の中で流れる神への讃歌はのどかな風景に溶け込んで、平和そのもの。こんな小さな村で日曜に教会に集い、つつがなく暮らすのもいいかな、とふと思う。



 下りは別行動で、彼は村の教会への道を降りて行った。
わたしは宿題のプレゼンを作らなければならないので、ジョギングで下山。久々の運動で足がギシギシして、筋肉がばらけそうだ。1時間で下山、昼食に間に合い、シャワーを浴びて、お昼寝したいところだが、宿題をかたずけるために学校の自習室へ。
 途中、韓国人のクラスメイトから苺をいただいた。
 海外にいると、ちょっとした親切が心にしみる。お日様をたっぷり浴びた苺はルビー色に輝いて、甘く美味しかった!