楽しい週末


 週末は幼稚園と小学校のダブル学習発表会だった。
土曜日は可愛い幼稚園のこどもたち。高いトーンの先生方の声が飛び交い、こどもの泣き声で騒がしい。
「いつもはいい子なのに、こんなハレの日になるとごねる子がいるよね〜」と言うと、前の席の方が振り向いて笑った。


 さて、日曜日は友人が勤める三角山小学校だ。朝、わくわくしながら自転車で出かけた。風もなく穏やかな自転車日和。自宅から10キロだから、宮の森の坂を登っても1時間弱で到着のはず。

 ところが、小学校に着いてみると誰もいない。あれれ? 体育館でバトミントンをしていた女の子に「学習発表会って、昨日だった?」と聞くと、そうだという。あららら、ら。
 友人は演劇好きで東京まで舞台を見に出かける程。いつも、生徒よりも指導する自分の方が発表会を楽しみに張り切っていると言う。器用な彼女だから、アイデア満載の演劇だったに違いない。.....残念。


 
 せっかく来たので、近くにある彫刻美術館でも覗こう、と美術館の前まで行ったら、モンブランに一緒に登った友人宅が近くだ、と聞いた事を思い出した。
 御殿のような邸宅が並ぶ住宅街を自転車でうろうろしてたら怪しく思われるんじゃないか、と心配になる。ちょこっと、ひと回りして帰ろう、と踏み出したら、ありました!
 まあ、なんと立派なお宅。おそるおそるベルを鳴らすと聞き覚えのある声がして、ほっとする。インタホーン越しに「しばらくです!ちょっと近くまで来たもので.....」と、おじゃますることになりました。

 エントランスには高価そうな大きな壷が無造作に置かれ、応接室とダイニングルームは片側全面がガラス張りで、彫刻美術館の続きのようです。彼女はこんな立派なお宅の奥さまだったのですね。モンブランの最終小屋でのハプニングを思い出しました。


 アタック日の夜中、彼女がトイレに行きたくなり、外に出ようとしても重いスライド式のドアが凍り付いて開かない。押しても引いてもびくともしないので、とっさの判断でゴミ箱から2リットルのペットボトルを拾って、胸に下げていたナイフで簡易オマルを作った。
 やれやれ、間一髪で間に合った。用を足したあとは、カットしたペットボトルで蓋をしてテープを貼り、そっとカゴに戻したのだった。
 そんな、あんなを思い出して、楽しいお茶タイムを過ごし、高級住宅街をびゅ〜んと下って、円山の友人宅へおじゃまする。庶民的エリアに戻ると気分が落ち着きますね。


 「引っ越した当時は広かったのに、なんだか、狭くなった感じね〜」と言うと、「宮の森の豪邸から来たからじゃないの?」と言われてしまう。う〜ん、そうかもねぇ.....。しかし、友人が住む円山のマンションだって充分の広さがあり、西の山々の稜線が望める素晴らしいロケーションなのだ。

 新潟から送られてきた新米で作ったタコめしランチをごちそうになり、満足まんぞく。
帰りは食べ過ぎでペダルが回らない。もう、坂をふうふう言いながら、ようやっと我が家に辿り着きました。