北海道のベニシアさん

 手仕事が好きなフランス人の友人は、札幌の郊外の自然のなかで、古い民家を自分たちでリノベーションし、陶芸家の旦那さんと暮らしている。


 まるで京都のベニシアさんのようだ。違うのはここが北海道だってこと。すぐそばに大きな森があり、家の庭にクマタカ、キツネ、タヌキ、リス、近くの山にはクマまで出没するとか。おじゃました日も、庭にキツネが飼い犬のように陣取っていました。
 野良ネコ用の餌にキツネ、タヌキ、くろテンなどがやって来て、以前はネコとなかよく餌を食べていたんだとか。野生動物が? でも、最近はそうではなくて、強いものが先に食べるそうだ。


 そして、野良猫が生んだ子猫を目当てにクマタカが、ばさり、ばさりと飛来するそうだ。母親ネコは数匹の子猫を連れていたが、ついに一匹もいなくなり、悲しげだったそう。
 以前、彼女はクマタカに襲われた子猫を助けたそうだ。畑の畝で遊んでいた子猫がクマタカに掴まり「だめっ!だめっ!」と大声を出したら、クマタカは一瞬ネコを離したそう。子猫は気絶していてぐったりしていたが、気がついたときは彼女をクマタカと間違えて思いっきり噛み付いたんだそう。傷は骨まで達して、手術したが人差し指の第一関節が曲がらなくなってしまったんだそうな。武勇伝に驚きました、です。

 タヌキも一匹でやって来ていたが、そのうち二匹になり三匹になり、最近は七匹、一家総出で「これが、わたしの家族です」と紹介にいらしたとか。笑えました。
 彼女は動物の習性をよく知っていて、軒下に巣を作るスズメバチとも共存している。 はあ、感心するやら、敬服するやら.....。


 雪降るまえの秋の午後、庭にやってくる野生動物たちの話に耳を傾けながらのお茶タイムでした。