厚幌ダム 発掘現場見学


 晩秋の穏やかな日、元職場の発掘現場見学に行った。
三十代初めにこの仕事に就き、始めて地層を見て、なんておもしろいんだろう!と思った。人間が暮らした地層は黒く、その間に火山の噴火があり白くサンドイッチされている。掘り下げるとローム層で、旧石器時代になる。わずか10cmの表土を剥ぐと2000年前の地層だ。時間の堆積が目に見えるのが面白かったのだ。それ以来、飽きもせず同じ職場で出土品の図を描いていた。まあ、今もだけど.....。



 仕事に就いていたときはオフロードバイクで道内の発掘現場廻りをしていたけれど、久しく行っていないのでわくわくだった。もと同僚が現場の説明をしてくれた。
 発掘には学術発掘と緊急発掘があり、道路やダムを作るための発掘は後者だ。厚真はダムなのでわりと広い面積の現場だった。平成28年にダムが完成し、水漏れがなければ使われる、と説明され、
「えっ、どゆうこと? 水が漏れたらダムじゃないじゃん!」とびっくりした。
 これがけっこうあるんだそうで、莫大なお金を使ってダムを作っても使われないまま地方自治体が借金を払っておるそうな。



 そして、道路には電柱がNTTと北電と2本並んで立っている。お互いに1本の電柱を共有出来ないものなんだろうかね。その方が経費も安く済むだろうに。

 その上、川の流れを変更するためダンプ用の仮道路を建設、流れをこちら側に変更し、もと川だったところには新しい道路が建設されるとか。ダムに沈む樹木は1本残らず切り倒して運び出すそうだ。ダム建設には莫大な手間とお金がかかる。


 昔も今も建設業者は早く発掘を終わらせてほしい、と思っているし、掘る方はいい遺跡に当たると時間がかかる。中でも自然保護団体が一番厳しく、鳥が一羽営巣しているだけで、1年延ばされるそうだ。

 ふう〜、世の中いろいろありますね。社会勉強になりました、です。




Tピット(鹿の落とし穴)を掘っている。円形と楕円があり、円形のものが時代が新しい)