「せんせい、さむいですか?」


「せんせい、さむいですか?」face bookにタイの生徒、チームから日本語のメッセージが入った。
「さっぽろはすこしさむいです。ジャケットをもってきてね!」とメールを返した。涙が出そうになった。



 明日、ヤイムアジアの日本語コンテストに合格したチームが、親善大使留学生として札幌へやってくる。中学1年生から3年間、日本語を教えた生徒のひとりだ。
 お兄ちゃんのおさがりの参考書をもっていて「日本へ行きたい!」と目を輝かせていた。高校生の兄より中学生のチームの方が、話すのも書くのも上手だった。



 ヤイムアジアのコンテストに合格したら日本に行けるというチャンスがやってきて、希望者を集めて試験のための特別レッスンをすることにした。
 日本語は、週1時間の選択科目でコンテストを受けられるようなレベルではないのだけど、夢を叶えてあげたくて詰め込み授業をすることにしたのだ。
 タイの学校は放課後も行事が多く、最終的に残ったのはチームだけだった。チームは勘が良く、ひらがなの文章を読んで問題の質問に答えられるようになった。助詞の使い方もあっというまにおぼえた。

 
 やさしくて人懐っこい生徒で、わたしを見かけると「せんせ〜!」と飛んで来た。日本へ帰国する度に「帰ってきますか?」と心配していた。
 放課後、山のトレーニングをしていると、追いかけてきてボールペンをプレゼントされたことがある。
日本から戻り、トレーニングを再開したのは1週間後だった。その間、ポケットにボールペンの箱を忍ばせてグランドにいたのだと思うとジーンとした。
 

 明日、我が家でウェルカムパーティをする。成長したチームに会うのが楽しみだ。


日本語スピーチをするチーム

試験の間中、クラスメートが廊下で待っていた。