最大の土器


 今回、最大の土器は60センチメートルあった。
分厚くて重く、10キロはありそう。内面は丁寧に磨かれていて焼成がよく形も美しい。粘土の乾きが丁度いいときに施文したらしく、多軸(数本の軸に撚り糸を籠編みのように絡めたもの)の原体を使った編んだような文様が美しい。

 これで最後かな?と思うとなんだかもったいなくなった。なんだかんだと文句をつけながら仕事をしていたが、土器に触れるのが好きなのだ。土の手触りがなんともいえない。これはいったいなんに使ったんだろうねえ、胴の下方には炭がついていないから埋めて使ったんだろうか。などと想像しながら、ちまちまと縄文を描いていた。


 友達はラジオの語学番組で、お気に入りは「かたつむりロシア語」だった。語学オタクのようなロシア語の先生とターシャさんの呼吸がぴったりで、地味だけれどおっかしい。本人はすごく真面目で当たり前のことをさらっと言葉にする。
「言葉を学ぶって、むずかしいんですよね。すぐになんてできないから安心してください。かと言って、なにもしないと、な〜ンにも憶えないですね」そりぁ、そうだ。
この先生、大学の英語教師でフランス語や韓国語もおできになるらしい。そして、一度も海外にでたことがないそうで、これは驚きだ。一日中、NHK第二放送をかけっぱなしにしているから、なんども笑っている。
 フランス語は映画に詳しい先生でトリフォーのインタビューを含め、映画解説を長々としている。ハングル語は小説を朗読していて、いまどきの韓国の状況がわかって面白かった。


 その昔、「夏休みこども相談室」という番組があり、夏の楽しみだったが番組がなくなった。いまどきのこどもたちは、なんでもネットで検索できるから相談することなんかないのかも知れない。ラジオも再放送ばかりで寂しくなりました、です。