笑顔を君に

 終末、さっぽろファクトリーで開催されていた中国、雲南省の子供達の写真展に行って来た。会場には子供達のすてきな笑顔があふれていた。
 雲南省はベトマムラオスミャンマーと国境を接し、日本と同じ面積で80%が山岳地帯だ。子供達は学校が遠くて通えないので寮で暮らしているのだそう。寮といっても薄暗い土間に二段ベッドが数組おいてあるだけで、自炊している。
 
 ネパールやチベットの山奥の暮らしも同じで、子供達は薪を集めたり、ヤクの糞を集めて竹のカゴに入れ、タラ(頭に掛けて運ぶ紐)を額にかけて山の斜面から麓の家まで運んでいた。これは女の子の仕事らしく、小さな少女を良く見かけた。
 山岳地帯は車が入れないので、男の子が材木やドア、食料品をより標高の高い村々に荷揚げしていた。いずれも、こども達は立派な働き手なのだ。いまも、25年前と同じ暮らしをしている。

 変わったのは、若いポーターたちが携帯を持ち始めたこと。携帯の音楽を聞き、同じ仲間と連絡を取りながら荷揚げしていた。それまでは、レッサンピリリ〜♬ などと歌いながらのどかに歩いていた。その変わりように驚いたけれど、山岳地帯だからこそ携帯は便利でしょうね。



 雲南省の村も、子供たちが学校で学んでいるのは、街に出て働くための中国語(北京語)とのことだから、すぐに携帯を持つ若者が現れるでしょうね。
 便利になることはしあわせなことだろうか、とふと思った。ちゃりん、と携帯が鳴ったので開けてみたら、「2時に伺います」と仕事の連絡が入っていた。あわてて家へ戻り、返信しようとしたら仕事のメールは昨日のものだった。
 携帯は便利だけれど、どこにいても連絡がつき、さらに忙しくなり、便利さと引き換えに何かを失うような気がしないでもない。昨日のメールに振り回され、やれやれでした。