土器作図


 土器作図の内職をしている。
職場では手実測といって定規を立てて実物大の土器を実測していたが、下請け業者は実物大の写真を撮り、それにトレーシングペーパーを当てて鉛筆でトレースする。
 毎日暑いのでトレペが歪む。歪まないように手ぶくろをはめ、腕抜きをしている。その上にタオルを用意してトレーシングペーパーに直接膚が触れないようにしているが、それでも歪む。もう〜いやんなる。



 それに、縄文中期の円筒下層の土器ときている。この時代は土器が大きくて、めっちゃやたら縄目文様に凝りまくっているのだ。
今日は多軸絡条体。これは数本の爪楊枝のような軸に撚りをかけた繊維を籠編みのように絡めたもの。回転させると一見、織物のように見える。その織り目というか、粒を一個一個描き入れていく。あわ粒くらいの大きさが入れ子になっているので、丸だけではすまない。A3用紙一杯の土器の表面に粒々を描きいれなければならない。
「もう、拓本にして、拓本に!」と言いたくなるが、作図を請け負ったのはわたしなので、業者の本意にそわなければならない。



 アウシュビッツで「無意味な仕事をさせて気を狂わす」というのを読んだ事があるがそれに似ている。こんなことしてなんになる?と考えてしまう。
 素晴らしいお天気の今日もまた、真面目にツブツブを描きいれているのでありました。なんとかならんのかね、これ.....。




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