ピアノのおばあちゃん

  
 ノビタ先生が「うちのおふくろが好きなんだ」と言って、ピアノや音符のついたものを集めていた。 


 こどもの頃からピアノが好きで憧れていたのだがピアノに触れれることもなく過ごして、そのまま結婚。嫁ぎ先がふとん屋さんでまたピアノとは縁のない暮らしだったそう。
 そして、人生も終盤となり、お姑さんもご主人も亡くなって49日も経たないうちに運ばれてきたのがピアノだったとか。それから、彼女のピアノの猛練習が始まった。
 最初の発表会のとき、上がってしまいピアノの鍵盤に触れることなく舞台を降りるはめに.....。あまりのショックに泣いて寝込んでしまったそうな。誰も発表会には行っていないのでなにが起こったのかさっぱりわからず、数日後にようやく話してくれたらしい。


 いま、彼女は88歳で音楽家の息子夫婦との二世帯住宅に住んでいる。会いに行っても地下室でピアノの練習している事が多く、なかなか出てこないので、半地下にある音楽室の窓をノックするそうだ。
「もう、素人じゃないのよ、じゃあ〜ん、じゃん!って感じ」とはノビタ先生の奥さんのお話。
 

「え〜?すてきじゃん! 会いたいなピアノのおばあちゃんに」と言っていたら、お花見のついでにお会いすることができた。
 とても品のある素敵なおばあちゃんでしたよ。今年もまた、発表会に向けて毎日猛練習しているとか。すご〜い!