絵本「っぽい」 Peter Reynolds

 絵を描くのが大好きな男の子。
いつでも、どこでも、なんでも描いて、ごきげんな毎日。
ところが、ある日おにいちゃんに「なんだこりゃ!? ぜんぜんにてないじゃん!」と笑われる。
そこで、男の子はうまく描こうとがんばるが、ぜんぜんうまくならなくてテーブルの下はゴミだらけ。

 そこへ、ちいさな妹がやって来た。むしゃくしゃしていた男の子が、「なんだよ!」と怒ると、妹は絵をもって自分の部屋へ逃げ込んだ。妹の部屋に入って男の子はびっくり。捨てた絵がみんな壁に貼られていた。
 妹は花瓶の絵を指して、「わたし この え が すき」そして、おおきな声で「ちゃんと かびんっぽい えだよ。かびんの きもちがするもん」と言った。


 それからは、男の子はまた自由に絵を描きだした。「っぽい」絵なら、いくらでも描ける。それから、もうひとつ気がついた.言葉でもおなじようなことができるということ。りっぱな作文でなくても、こころに浮かぶ言葉を書いてみるのはおもしろい。

 こうして、男の子は 『いつだって せかいを まるごとあじわって くらした。めでたし めでたし』



  最後の文章がいい。世界をまるごと味わうなんてすてきじゃん。もう、よけいなしがらみはないのだから、この男の子のように世界をまるごと味わって暮らしたい。
「じょうず」にできるって、そんなに大切? の問いかけもいい。最後のページのひとつ手前がまたいいんだな.......。


Peter Reynolds HP: http://www.peterhreynolds.com/news.html