うたうしじみ 児島なおみ
生徒のイラストを見ていたら、「うたうしじみ」を思い出した。
まほうつかいのおばあさんがみそしるの具にしじみを買う。夜、騒がしいので起きてみると、しじみたちがなにやら騒いでいる。
「ここは海のどのあたりでしょうか....」
しじみたちは、ぐっすり寝込んでいる間におばあさんに買われてしまったのだ。おばあさんは、じじみたちに同情して、なかなかみそしるに入れることができない。猫のトラジが「同情したら、あかんよ」と怖い顔をしている。
そこで、おばあさんは通りでしじみの歌を聴かせて資金を作り、猫のトラジと海へしじみを放しにいく。
最後のページが南の島のパラソルのしたでリゾートしていて、子育て中の忙しさのなかで、羨ましく思っていた。
さて子育てもとっくに卒業し、いざ、美しい青い海のリゾートに行ってみると、なんか暇でしょうがない。
囲われたプライベートビーチもそらぞらしくて、隣のしつこい物売りのいるピーチのほうがなんだか落ち着く。浜辺で魚の焼く匂いにつられて、垣根を越えてそちらにお邪魔した。
ビール片手に魚を食べていると、ポルトガルのナザレで塩焼きのイワシとを肴に赤ワインを飲んだことを思い出した。う〜ん、あれも美味しかった。
地元の人たちが炭火でイワシを焼いているところにおじゃまして、ずんどうのとっくりに入った自家製のワインを飲んだのだ。旅人に親切な国というか、その国の親切な人たちとの出会いはいつまでもこころに残っている。