アゲハチョウ

 雨上がり、美しい貴婦人のような蝶がひらひらと舞っていた。
羽を広げると小鳥くらいもある。なんとも優雅なおもむきに魅かれて後を付いて行った。蝶は花から花へとすべるように移動して行く。


 子供の頃、夏になるとカラスアゲハや黄アゲハを追いかけた。美しい蝶はなかなか捕らえることはできない。それで、モンシロチョウやモンキチョウを捕まえては、庭に穴を掘って花を敷き詰めてガラスで蓋をした蝶の家に放した。上から見ると、ガラス越しの蝶の楽園はすばらしくきれいだった。花と蝶の作品に満足していた。
 しかし、手も服も花粉だらけでくしゃみがでそうだった。それ以来、なぜが粉くさいものが嫌いになってしまった。いまでも粉っぽく厚化粧をしている人を見るとくしゃみがでそうになる。それに、今考えると残酷な遊びだったと思う。隙間はあるとしても、結局蝶は狭い空間で窒息してしまうんだから.....。


 昼休み、しばし子供の頃にもどり蝶と戯れた。