旅する人

 
 スコータイのトクトクで小さなリックを背負った日本人と乗り合わせた。半年間の世界一周の旅に出て、もうすぐ日本に戻るところだそう。
「晩ごはん一緒に食べようよ」と屋台へ行く。彼女のゲストハウスに一年間の世界一周の旅を始めたばかりの女性がいて、その娘も合流する。旅をしているとひとりでご飯を食べるのが寂しくなるときがある。屋台でビールを飲みながら旅の話で盛り上がった。


 半年間旅行しているのぞみちゃんは、ドイツに二年間留学していたそうで、語学も達者で旅の宿はすべてボランテアの家に泊まったので宿泊費はゼロとか。各国に旅人を泊めてくれるボランテアグループがあるそうだ。なんとも逞しい!
 一年間の旅に出たばかりのリカちゃんはまだ不安そうで、明日、シーサチャナーライの遺跡公園に行きたいけど、一人じゃ恐いので一緒に行ってくれないか、と誘われる。以前スコータイ遺跡で日本人旅行者が殺されたとか。
 暇なわたしたちは「OK、問題ないよ」と翌日、またバスステーションに行ったが、なぜか昨日乗れたシーサチャナーライ行きのバスが満員で乗れない。日曜日なのに観光地に行けないとはなんじゃい?


 リカちゃんには先にオールド・シティに行ったらいいよ、明日は月曜日だからバスに乗れるからと勧めて、わたしたちもまたオールド・シティに向かった。のぞみちゃんは午後のバスでチェンマイに向い、リカちゃんとは2日続けて夕ご飯を共にした。
 


 若い二人は眩しいくらいに旅するエネルギーに溢れていて、若さっていい!と素直な気持ちで二人を見送った。一期一会の出会いは、名前は忘れても、一緒に飲んで話したことをいつまでも憶えている。いつだって、また旅にでることはできるのだ、とふと思う。