黄金虫 発見!

 ♪〜黄金虫は金持ちだ 金倉建てた 倉建てた 飴屋で水飴かってきた
   黄金虫は金持ちだ 金倉建てた 倉建てた 子供に水飴なめさせた〜♪


 じゃ〜ん、黄金虫発見! これりぁ、縁起がいいぞ〜!
ふた昔程まえ、札幌郊外の山際の家に住んでいたことがある。秋だったと思う。掃除をしていたらカーテンに黄金虫がぶら下がっていた。これはありがたい、貧乏な我が家に黄金虫が舞い込んだ、と指輪の箱に収めて家宝にした。職場でみんなに見せびらかしていたら、競馬の好きな友人が「馬券を買うから、貸して」と言って持って行った。すると、当たったらしい。すごいじゃん!
 わたしは黄金虫を失したら大変と、職場のカメラマンに頼んでスライド写真に収めてもらった。「ばっかみた〜い」と軽蔑の目で見られたけど、これがほんとにお金を運んで来たんだなぁ。バイクの事故に合い大金が舞い込んだのだ。

 わたしは子供の為に積み立て保険に入り、気前良く掛け金を前納した。残りは藻岩山の南斜面に土地を買った。その頃、機織りをしていて、森の中のアトリエに住むのが夢だったのだ。
 ところが子供が巣立つ頃から山にのめり込み、満期の保険金は山に消えてしまった。いまや二束三文の土地はまだ残っていて、息子が土地を探していたので「あげる」と言っても却下された。
 そもそも、そのころ中学生だった息子に「こんな山の斜面に土地を買って、どうするつもり? 年取るんだよ」と反対されたのだ。「いいさ、坂なんて問題ないよ、でっかい犬を飼って引っ張ってもらうから」と森の暮らしを夢みていた。

 人生は自然と同じく変わっていくもんよね。くそ暑いタイで日本語教師なんぞしているけれど、これから、また大金が舞い込むかしらん?とメゲずに思っている。


 でも、この黄金虫、なんで箒に掴まっているんだろう? そこが、ちょっと気になる......。