旅の出会い

 旅をすると、いろんな人との出会いがある。
今回の山旅も多くの人との出会いがあった。村から村へのトレッキングなのでお茶タイムや泊まる宿で、いろんな国の人と話をする機会がある。
 夕方はストーブの周りに集まり、寒い部屋に戻るまでに体を温めながら、「明日はどちらへ?」とか「どこからきましたか」など、など。

 そんななかで、70代のレイ子さんは一人でネパールに通って15年になるとか。親しくしているガイドの若者とチュクンの小さな頂を目指していた。行きと帰りに何度か一緒になり、お茶タイムや食事におしゃべりを楽しんだ。
一人で行動して、自由に山を楽しんでいる彼女に感銘を受けた。




 エベレスト街道のどん詰まりの宿、ゴラクシェルプで韓国の若者に出会った。日本語が上手で、日本人かと思った。彼は雪の降りしきる夕方、峠を越えて行くと下山したが、あやうく遭難するところだったそうな。
 ペリチェから下山し、途中でお茶をしていたら、彼とばったり再会した。訊くと「今日はナムチェバザ—ルまで下る」というので、「よっしゃあ!」と私たちも合流することになった。
 行きに泊まったナムチェの宿が満杯で、近くの素晴らしくきれいなホテルに泊まることになった。「やったー!シャワーもあるでよ」と若者たちと私は大喜び、さっぱりとヤクの埃を洗い流した。そして、日本米と本場のキムチに感激した。宿のオーナーが韓国から取り寄せているらしい。





 下山途中のランチタイムに出会ったロシア共和国から来たニコライさんは、高山病の心配をしていた。始めての一人旅で不安だったのか話しかけられた。
「ネパール何回目?」
「11回目よ。エベレスト登頂も含めてね」と言ったら、「お〜まいがぁど!」と青い目をまん丸くして驚いた。
山の話で盛り上がった。お国の奥さんや、家やサウナの写真を見せてくれて国際交流を楽しんだ。




 たらたらと歩くトレッキングは時間がたっぷりある。宿についてもなんにもすることがないので、自然とうわさや会話を楽しむようになる。
 エベレストに挑戦している78歳の日本人女性は、もうだめらしいよ、とか。エベレストは、
ネパールサイドとチベットサイド、どっちが難しいの? とかいろいろ。


 ペリチェで高山病のために休養している40代のネパールの女性に出会った。
エベレストに挑戦中の彼女に「どうして、エベレストなの?」と訊いたら、「子供のころからの夢」と答えた。そして、家族の写真を見せてくれた。
「いいよね、夢を叶えるなんて」と彼女に心から声援を送った。
登頂できたかなぁ………。
 日本では渡辺玉枝さんがチベットサイドから登頂して、73歳で女性の最高年齢を更新したとか。すごいね〜!



ペリチェの宿のキュートなおねえちゃん。