70の手習い

 山友だちが機織りを始めた。
なんと70の手習いだ。手習いと言っても独学で、機織は本を買い込んで平織りと裂き織から始めた。今はパソコンで組織図を作り、何枚もの機の綜こう(縦糸を上下させる道具)を操り、綾織りまでしている。


 昨年の春、山の友人が機織りをしたいというので、織り機を譲りたいと言う織友だちを紹介した。織の友人が病気になり、術後、腕に負担がかかるというので機が織れなくなり、機は長い間パソコンの台になっていた。山友は自宅の他に、アトリエにしているマンションがあるので、大きな機を置ける。ということで、長い間織手のいなかった機は、彼によって息を吹き返した。


 昨日、実はお見舞いに伺ったのだ。
彼が機を始めてからまもなく脳梗塞で倒れたと聞いていた。しかし、相変わらす好奇心旺盛で前向きだ。組織織はたくさんのペダルを踏まなければならないのでリハビリにもってこいだ、と明るい。それにしても、興味があるってすごいと思う。いやはや、人間って素晴らしい。