ニューシネマ・パラダイス

 トレーニングしながらDVDを観ている。
シシリアの海を背景にベランダの植木鉢。その中にぴょこんと飛び出した芽に風を孕んだカーテンが揺れる。物語は回想シーンから始まる。
 映画や本は出だしで善し悪しが決まる。映画なら最初のシーン、本なら最初の一行が物語にインパクトを与える。


 つい、50年ほどまえの映画が娯楽だった時代、人々は映画館に集まった。
道南の海辺の小さな村にも映画館はあった。そこの木のベンチに腰掛けて、美空ひばり小林旭石原裕次郎も観たのだ。ベンハーも観たし、ばあちゃんとは親鸞も観に行った。ばあちゃんは映画を観ながら「なんまいだ〜ぶつ」とお経をあげていた。
なにもない村で、映画は違う世界へと連れてってくれるわくわくするタイムマシーンのようなものだった。
 わたしの村の人たちと、「ニューシネマ・パラダイス」の登場人物が重なりあって懐かしさを感じる。戦後の時代を懸命に生きたトトをめぐる人々。映写技師のアルフレードと小さなトトの友情。

 この映画を映画館で観たとき、最初と最後のシーンが印象的だった。子供のトト、青年のトト、中年のトトを3人の俳優が演じている。ロマンスが生まれ、そのロマンスを胸に秘めたまま中年になったトトにジーンとしましたね。


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