「死ぬ気まんまん」佐野洋子

 本屋で佐野洋子の追悼冊子を立ち読みしていた。
もう、新しい本を手に取ることはないのね、とページを開くと「死ぬ気まんまん」という言葉が飛び込んできた。彼女の最後のエッセイのタイトルらしい。エッセイのコーナーでそちらも手に取ってみる。彼女の文章は相変らず辛辣でおもしろい。


 彼女と同じようなときに子育てをしていた。
深夜、受験勉強中の息子がテレビを見てゲラゲラ笑っていた。かーっと頭にきて怒鳴ろうかと思った時、佐野洋子のエッセイを思い出した。同じような状況に「バカを一人増やしたようで気分が悪い」と書いていたのだ。まさに我が家もその通りで、あはははは、と笑ってしまった。
 そのむかし、息子の4歳の誕生日に買った絵本が「だってだってのおばあさん」だった。それ以来、彼女のファンになった。正直さに辛辣な言葉を添え、愛することの本質を見抜いたような文章が好きだった。
 「だってだってのおばあさん」のように、99歳誕生日にろうそくを5本吹き消して、「5さいってなんだかとりみたい」と言ってみたい。来年も、そのまた来年も、ろうそくを5本立てて、「永遠の5歳」を心にもってに生きていきたいもんだ。

「百万回生きたねこ」の絵本のごとく、彼女は百万回死んでも、百万回甦るような気がする。
たぶん、天国でかっこいい男とジャガーを乗り回し、雲の間から落っこちて来るかもね。


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