てんやわんやの一日

 最後の授業で、2年1組の生徒たちとたこやきをする約束をしていた。
1時間目なので、朝から準備で忙しい。いつまでここに居られるかわらないから、いつも出来るだけのことをしようと思う。
たこ焼きを作りながら、おいしそう! おいしい! おいしかった!をばっちり覚えた。ついでに「日本語のべんきょうはどう?」ときいたら「たのしい!」が返って来た。
 ひとりの男の子が「ことしもいるよね?」と抱きついて来た。ハグしてあげたら、みんなに笑われていた。うらやましいのかもね。

 このクラスの男の子たちは、とても仲がいい。食事もトイレもいつも一緒だ。幼かった生徒たちはぐんと背が伸びて、ちょっと生意気になった。親でもないのに、彼らの成長が嬉しい。
 自分の子育て中はおおざっばで、子供のお腹を満たし、手をかけたものさえ食べさせていたら、心身ともに丈夫に育つだろうと思っていたが、いまもそれは変わらない。食べたいと言われる度に、せっせと寿司をつくり、たこ焼きやお好み焼きを作って生徒の要望に応えている。
 人間たいして変わらんもんねえ、とつくづく思う。なにはともあれ、生徒の喜ぶ顔が一番うれしい。