暮らし

「暮らしって、あんなふうに続くんだよね」とインが言った。
二階の窓から、チュンポーン先生が子供たちを車に乗せているところを見ていた。これから小学校と幼稚園に送って行くところだろう。毎日同じことが繰り返される。

「結婚って退屈じゃないかな?」とまた言う。
「そうね、毎日同じことが繰り返されるってことは平和だってことよ、それがいいのよ」
「でもね、わたしは夫や子供の世話だけじゃ退屈だと思う」と反論。

 平和と退屈かあ?
子育て中は戦争など起きませんようにと真面目に思った。母性本能ってやつかな、子供たちを絶対に悲しい目に遭わせたくない。平和でありますようにと心から願った。それに、仕事と家庭で退屈などと思う暇もなかった。
 インは若く、これから何を選択し、どんなふうにトライしようかと悩んでいる。中国は結婚年齢が早いので、両親からは「早く結婚しなさい」言われているとか。「28歳では遅いのよ」とのことだ。修士課程も取りたいらしいが、3年かかるから、卒業すると適齢期を過ぎてしまうと心配している。
「忙しいけど、仕事も家庭も両方取るのよ」とイタリアとスペインの友人が両立させていることを話した。
「大学院に行きながら、結婚だってできるわよ」と励ます。
 インに限らず、日本語教師をしている若い同僚もまた悩んでいる。タイで日本語教師を続けるべきか否か。わたしもそう…
 するとインが、
「ここは環境がいいから、リタイアしたら夫婦で来て教えるには良い場所だ」と言う。
「確かにね」と同意する。誰かがいたら、暮らしも感じ方も違うのかもしれないね。


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