ちいさな先生

 放課後、2年生のギムがポードの前で中国語の友だちに日本語を教えている。
ギムの友だちのレックが中国語クラスから日本語クラスに移ってきたのだ。おしゃまなギムは中国語クラスの二人を相手に日本語の先生を始めた。
 それが、わたしとそっくりなので笑ってしまった。ひと通り教えたところで、少しずつ隠して暗記させるところや、覚えたところで二人を競わせるところなど、わたしそのままだ。この親にしてこの子ありーの諺どおり、へたなことは出来ないな、と思う。
 レックは意思が強そうな子なのですぐに1年半のブランクは埋められるだろうと思い、ひらがなとカタカナの練習ノートを渡して勉強をするように言う。それにレックは利発な子なのでギムの良きライバルになるだろう。
 ギムは将来日本語の先生になりたいという。ふと、ここの学校に残って良かったと思う。