売りもの授業

 今年度から、数学と生物の授業をフィリピンの教師が英語で授業をすることになったが、生徒は全く理解出来ず、教える教師もお手上げ状態で数学を教えているドナは泣き出してしまったとか。
 無理もない、何を聞いても「I’m fine thank you」の英語レベルで数学や生物の授業が理解できるわけがない。しかし、学校の売りものは「当校は科学と数学に力を入れ英語で授業をしています」ということだそうで、校長はいつも天井に鼻の穴を向けて歩いている。
 「あはははは、お金をドブに捨てているようなもんだね」と外国人のわたしたちは笑っている。「タイ語の出来る英語教師じゃないとだめじゃん、インが教えたほうがまだましだよ。可哀想なドナ」とドナに同情する。ドナはこの間から胃が痛いとか、頭が痛いと体の不調を訴えていたが、こんなに追いつめられているとは知らなかった。
 体裁ばかり整え、まったく中身のない学校だ。まったくもまあ、こうもやる気のない教師ばかり集めたもんだ、と呆れていたところに、突然、政府の教育センターの視察が入ることになった。学校は慌てふためき、生徒たちに大掃除をさせ、寮の玄関までデッキブラシをかけさせていた。裸足でコンクリートを洗っている生徒たちに、これまた同情する。
 視察隊の歓迎セレモニーで生徒の代表に外国語でスピーチをさせるということで、急遽、代表の生徒を選び原稿を作った。放課後スピーチの練習をさせていたが、2週間待っても視察隊は来なかった。今月の末に来るとか?やれやれ。